- 診療部門紹介
- Introduction
- 診療部門紹介
- 検査科
検査科
検査科は、電気生理検査部門を中心に、一般検査、血液検査、生化学検査、免疫血清学検査、輸血関連検査、超音波検査などの8部門を、臨床検査技師8名で運営しています。また、手術前検査の採血や、検査室外の業務では術中のモニタリング、自己血採血時の監視及び貯血後の血液保管、出入庫の管理を担当しています。
検体検査部門は、各種自動測定機器のオンライン化をはじめ、電子カルテ、オーダリングシステムが導入されており、検査依頼、採血から約30〜40分程度で結果報告を行っています。それにより、外来診療における緊急検査や緊急手術にも迅速な対応が可能です。
神経伝導検査
手足のしびれ、痛みの原因が末梢神経と疑われた場合、神経伝導検査が非常に有用です。神経伝導検査とは末梢神経が伝達する速度を測定する検査で、これにより神経障害の部位や程度を検索します。また、Inching法を併用する事により、障害部位をより詳しく特定する事が可能です。検査は低周波のような弱い電気刺激を使用します。人によって感じる程度は違いますが、多少のピリ痛い感を伴うことがあります。また、検査時間は通常30分程度ですが、特別な場合1時間以上かかる事もあります。
※Inching法について
神経上の皮膚を1cm間隔で刺激し波形を導出していきます。神経に障害がある場合、その部位で波形変化や潜時差(時間差)が生じます。通常、神経にはそれぞれ障害されやすい場所がありますが、それ以外の場所での障害部位の特定に威力を発揮します。
上肢全体のInching法
神経伝導検査が有用な主な疾患
1.手根管症候群
手首(手関節)で正中神経が圧迫されて起こる神経の障害です。中年期以降の女性に多く発症し、示指、中指を中心にしびれ、痛みが出ます。しびれは環指、母指に及ぶこともあり、これらの症状は明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。
正中神経の手関節におけるInching法
(波形が低くなった部位(黄色の×)で神経の障害が疑われます)
2.肘部管症候群
肘で尺骨神経に圧迫や牽引などが加わり生じる神経の障害です。麻痺の進行により症状が違います。初期は小指と環指の一部にしびれ感が出現します。麻痺が進行するに伴い、手の筋肉がやせてきたり、小指と環指が変形をおこします。
尺骨神経の右肘関節におけるInching法
(波形変化がある部位(黄色の×)で神経の障害が疑われます。)
術中モニタリング
当院では、脊椎、脊髄の手術の際、SSEP(体性感覚誘発電位)による術中モニタリングを全症例に施行しています。
SSEPとは、末梢(手関節、足関節)から頭までの神経の通り具合を見る検査です。まず、手術前日にSSEPを施行します。これにより刺激する神経の位置、波形の形などを確認し、手術当日確実なモニタリングができるように備えます。また、リスクが高い症例では、脊髄誘発電位、MEP(運動誘発電位)を併用し、より安全に手術が行えるようにしています。現在、検査技師4名にてローテーションを行い、緊急時にも対応できる体制をとっています。
超音波検査
超音波は、「人の耳には聞こえないほど高い音」でコウモリ、イルカは聴き取る事の出来る音波です。超音波検査とは、超音波を体表からあて体の組織を通じて反射してくる情報をコンピュータで解析して体の臓器の形状、変化、異常、動き等を調べる検査です。
身体にあたえる影響がないため、繰り返しの検査や妊婦の方でも安心して受けられます。検査は検査対象部分にゼリーをぬり、探触子(プローブ)と言う超音波発信器を軽く押し当て検査を行います。時間は、各検査20-40分程度です。
体に直接ゼリーをぬりますので、衣服を脱いでいただくこともあります。
心臓超音波検査
心臓各部位の形や大きさの異常、壁運動の様子、弁の異常、血流状態などが苦痛を伴わず診断できます。種々の心臓疾患の診断、重症度の評価、治療方針の決定など幅広い目的で検査します。
対象疾患 | 心電図異常 弁膜症 心筋梗塞 狭心性 心不全 心筋梗塞 他 術前検査として、高血圧、糖尿病、その他心疾患のある方 |
---|---|
注意事項 | 食事その他特別な制限はありません。 |
心臓超音波検査 左室長軸像
大動脈弁閉鎖不全症
腹部超音波検査
腹部臓器(肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、胆嚢、腸管、膀胱、子宮など)を対象にしています。
腹部内の断層像を見ながら各臓器の疾患、病変の有無を調べます。
対象疾患 | 肝機能異常 腎機能異常 脂肪肝 胆石症 腎結石 腹部臓器腫瘍 腹痛 背部痛 他 |
---|---|
注意事項 | 午前の検査の場合、朝食はとらずにご来院ください。 水は飲んでもかまいません。 衣服は上下分かれているものがよいと思います。(ワンピース等ではなく) |
腎臓と腎動脈
肝臓
下肢静脈超音波検査
超音波を用いて脚の血管(静脈)に異常がないか調べます。下肢にある深部静脈という血管には、血液のかたまり(血栓)が出来ることがあり、これを「深部静脈血栓症」といいます。
超音波検査では、検査部位の血管内を観察するとともに、パルスドップラー、カラードップラーという血流表示の出来る検査法を用いて血流の異常を調べます。
対象疾患 | 深部静脈血栓症 足のむくみ、はり 外科手術後 他 |
---|---|
注意事項 | 下肢は、靴下、ズボンは脱いでもらい下着(パンツ)1枚で検査を行います。 (腰部にはタオルケットをかけます)。食事制限はありません。 |
深部静脈血栓症とは...
脚の深い部分を走っている深部静脈に血栓が出来、血液の流れが悪くなる病気です。
深部静脈波は、皮膚の近くの静脈に比べて太く肺に通じているので血栓が肺まで流れて詰まる、肺塞栓を起こす可能性があります。最初は、脚の筋肉がつったりする程度です。症状が重くなると、腫れや張るような痛みが出たりします。
原因
1)血液の流れのうっ滞
2)血管内膜に問題がある場合
3)血液自体に固まりやすくなる傾向がある場合
主な原因は①の血液のうっ滞ですが、うっ滞の起こりやすい状態に外科手術後、骨折後寝たきり、長時間の座位等があげられます。
危険因子
米国心臓協会では以下の項目をあげています。
1)60歳以上
2)広範な手術(年齢、静脈瘤、肥満、手術時間で術後のリスクは増す)
3)静脈血栓の既往
下肢静脈超音波検査 膝窩静脈
頸動脈超音波検査
超音波を用いて首の頚動脈の硬化、狭窄を観察すると共に、パルスドップラー、カラードップラーという血流表示の出来る検査法を用いて血流の異常を調べます
対象疾患 | 脳梗塞 閉塞性動脈硬化症 頚部血管に雑音のある方 |
---|---|
注意事項 | 食事制限はありません。 衣服は、前開きのものまたは首の開いたものがよいと思います。 |
頸動脈
頸動脈 動脈硬化あり
頸動脈超音波検査
甲状腺は首の前面に位置する、体の新陳代謝を高めるホルモンを出す臓器です。
このホルモンのバランスが崩れると、疲労感、無気力、動悸息切れ、体重の増減などのさまざまな全身症状をきたします。超音波検査では甲状腺の大きさ、甲状腺内の腫瘍の有無、周辺のリンパ節の腫れを調べます。
対象疾患 | 甲状腺機能亢進症 甲状腺腫大 甲状腺腫瘤 等 |
---|---|
注意事項 | 食事制限はありません。 衣服は、前開きのものまたは首の開いたものがよいと思います。 |
表在超音波調査
皮下の腫瘤、しこりの原因を評価します。
輸血関連
当院では出血が予想される手術の場合、手術内容や患者様の状態に応じて、術前に自己血の貯血が行われます。自己血とは、患者様自身の血液を血液パックに貯留し手術に備えるというもので、検査科では自己血貯血時の立会い監視、貯血後の血液パックの保管、出入庫の管理を行っています。
患者様の血液は、検査室内にある専用保冷庫で、徹底した温度管理のもと大切にお預かりをしています。
血液パック専用保冷庫
血液による検査
生化学部門
JEOL自動分析装置
JCA-BM-6010(クリナライザ)
毎日の精度管理はもちろん、外部精度管理も定期的に参加し、より高精度な検査結果を提供しています。
現在は約30項目の検査を行っています。
測定項目
総蛋白 アルブミン 総ビリルビン AST ALT LDH ALP γ-GTP コリンエステラーゼ CPK AMY BUN クレアチニン 尿酸 総コレステロール HDLコレステロール LDLコレステロール 中性脂肪 Ca 血糖 無機リン IgG CRP リウマチ因子 Dダイマー MMP-3 KL-6 Na K Cl
(R2.12月 現在)
血液検査部門
Sysmex 多項目自動血球分析装置
XN-1000
2009年4月に購入された新しい機器です。測定原理に新技術が搭載されています。主に赤血球、白血球、ヘモグロビン濃度、血小板、白血球分画(白血球を種類別に分類します)などを測定し、炎症や貧血などの指標となるデータを提供しています。
Sysmex 全自動血液凝固測定装置
CN-1600
血液凝固検査:血を固まらせる機能をみる検査です。現在(PT:プロトロンビン時間)(APTT:活性化トロンボプラスチン)の2項目を測定しています。主に手術前や血液の流れをコントロールするお薬の服用時などの指標となる重要な検査の一つです。